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ジンクスや迷信というのは、日本に古くから伝わるものが存在していますが、もちろん日本だけではなく世界中い存在しているものです。
古くから伝わる言い伝えというものが、ジンクスや迷信と言われるものになり、現代にも残っていると考えることができますが、それではあなたは、“ジンクス”と“迷信”の違いというのは何なのか、ご存知でしょうか?
実は、幸運になるとか不幸になると言われる言い伝え、またこのようなことがあると何かが起こるなどという言い伝えを、ジンクスと迷信に切り分けるポイントがあるのです。
そこで今回は、日本の幸運を招くと言われるジンクスや迷信、不幸になると言われているジンクスや迷信、さらに認知度は低いものの、面白いジンクスや迷信を紹介していきます。
少し考えれば根拠がすぐに分かるものもあれば、“一体どういう風の吹き回しでそうなるの”と首を傾げてしまうようなジンクスや迷信もあるので面白いですよ。
また、日本国内だけでなく海外でも古くから伝わっているジンクスや迷信も紹介しているので、楽しみながら読んでいただければ幸いです。
目次
ジンクスと迷信の違いは?ジンクスと迷信それぞれの定義や由来について
ジンクスには古くから伝わるものが多いが、その浸透範囲は狭い
ジンクスというのは、古くから伝わるものが多いのですが、その一方で、一定の地域や一定の物事に関わる人などに限定されており、一つのジンクスが浸透する範囲が比較的狭いという特徴があります。
ジンクスも迷信も、生まれた場所や生まれることになったきっかけ自体に大きな違いはありませんが、ジンクスに限っては“誰でも親しめるもの”“誰でも共感できるもの”ではないというのが実際のところです。
一定の仕事に就いている人の中でだけとか、一定のスポーツを行なっている人にだけ、またはある一定の地域に住んでいる人にだけ浸透しきっているものの、その範疇を一歩踏み出してしまうと“そんなの知らないな”と言われてしまう…そんなようなものだとイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
もっと簡単でシンプルな表現をするのであれば、“内輪ネタ”のようなものです。
その一定の内輪の中では通用する“あるある”なども、その輪から外れている人には理解できない…それがジンクスの定義だと言っていいでしょう。
本来ジンクスは“悪いことが起こるもの”のみに使われていた言葉である
ジンクスの起源は定かではありません。
しかし、本来、ジンクスというのは、良いことよりも悪いことが起こることに焦点を当てて浸透してきた部分があることは事実です。
例えば、黒猫が目の前を通ると不吉なことが起こるとか、はしごの下を通り抜けると不幸な出来事が起こるなど、“こうしてしまうと悪いことが起こる”というものが本来のジンクスとなります。
つまり、“こうするとハッピーになる”“こんなことがあると幸運がやってくる”というのは、ジンクスという言葉が世間に浸透していくにつれて派生してできたものだと考えることができるのです。
ジンクスの本来の意味は悪いこと、悪い出来事を指している言葉というのを理解すると、その時点で迷信とは少し違うベクトルであることも理解できると思います。
当然、ジンクスという言葉自体は日本で生まれたものではありません。
海外で生まれ、日本に浸透してきた言葉だということになるわけですが、ジンクスという言葉が悪いものを指す意味合いがある以上、“良いジンクス”という認識が生まれたのは日本だと考えても良いでしょう。
ジンクスとは本来不吉な出来事が起こる前兆を知らせる出来事、こんなことをすると不幸になるという物事を指す言葉だということを覚えておいてください。
迷信は社会的に知られているなど浸透範囲が広いのが特徴
ジンクスが地域や一定の物事に関わる人など、狭い範囲内で浸透しているのに比べてて、世間一般的に浸透して広く知られているものを迷信と呼んでいます。
これは迷信の一つの特徴でもあり、世間に広く知られているというのがジンクスとは違う部分でもあるのです。
そのため、一定の職種だったり、スポーツだったりなどに固執することなく、普段の生活の中に浸透しているものが多いというのも特徴の一つになり、朝起きてから寝るまでの間の、誰でも行っている一日の中の行動について、言われているものが多く存在しています。
だからこそ、一つの迷信を耳にしたときに「そんな状況になることなんてないでしょ?」と思う機会もかなり少なくなると言えるでしょう。
迷信は個人的な思考、暗示、思い込みが影響して生まれるものという考え
迷信が広く知られている一方で、もう一つ、迷信の特徴があります。
それは、迷信が生まれるきっかけというのが個人的な思想であったり、その人が自分の中で自身に暗示をかけたことが影響して生まれるものであるということです。
この場合の迷信は、世間に広く知れ渡ることはなく、ただ“その人の中でだけ”信じられるもの、思い込まれるものという認識になります。
例えば、朝、目覚まし時計をセットして鳴るようにしている人が、“目覚まし時計よりも早く起きることができた日の仕事は捗る”なんて考えていたとしても、世間的にはそのような迷信は聞いたことがないですよね。
それはその人の中でだけ信じ込まれているものだからです。
それでも、その人が自分の家族や友達、またはSNSなどのネット上でそのような迷信を発信すれば、周囲に浸透していく可能性はゼロではありません。
“分かる!”と同意を得られたり、“そういう時、あるよね!”と賛同を得ることができれば、その迷信は世間に広まっていくものです。
このように個人的な思想が関係して生まれた迷信というのは、特に根拠もなく、その人が“そう思ったから”というだけで作られたものなので、“なぜこの迷信はこう言われるようになったのか”という明確な理由がないまま、広まっていったもの…と切り分けることもできます。
幸運が舞い込むと言われている日本のジンクス・迷信
朝の蜘蛛は仇でも殺すな
虫が苦手な人はもちろん、特別に虫が苦手というわけではない人でも、蜘蛛はちょっと…という方も多いのではないでしょうか。
そんな蜘蛛に関する迷信があります。
それが、“朝の蜘蛛は縁起がいいから殺してはいけない”という内容のものです。
仇でも殺してはいけないというわけですから、とにかく朝蜘蛛を見かけたら絶対に見逃してあげなければならないということになります。
家の中で見つけてしまえば、ついついティッシュや殺虫剤を手に取ってしまうかたも決して少なくないと思いますが、なぜか古くから日本では朝の蜘蛛は幸運の象徴とされ、決して手出ししてはいけないものと考えられているのです。
反対に、夜に蜘蛛が出た場合には、“親でも殺せ”と言われているほど、不吉なものの象徴とされています。
朝出れば見逃されたものが、夜だと殺されてしまうという、蜘蛛にとっても何だか理不尽な内容ではありますが、数多く存在する日本の迷信やジンクスの中でも特に有名だと言える一つでしょう。
初夢に一富士二鷹三茄子の夢を見ると幸運な一年になる
お正月の初夢とあれば、誰でも頭に思い浮かぶのがこの“一富士、二鷹、三茄子”だ思います。
中には、初夢のことだとは知らなくても、この言葉だけは聞いたことがある…という方もいるかもしれませんね。
4、5と実は続きがある…なんて話もありますが、そもそもの時点で初夢でこの3つの組み合わせが出てくれば向こう1年を幸せに過ごすことができると言われるようになったのでしょうか。
一富士の“富士”というのは、もちろん、富士山のことを示していますが、二鷹の“鷹”は実は鳥の鷹のことではないのです。
富士山の周りには、“富士を支える三足”と言われる“足”という漢字の入った山が3つあります。
一つは金太郎でお馴染みの“足柄山”、そしてもう一つが“足和田山”、残る一つが“愛鷹山”です。
今では愛情の愛に鷹で“あしたか”と読みますが、古くは“足が高い”と書いて“足高山”と呼ばれていました。
三足と呼ばれる山の中でも霊験あらたかな山として信仰を集めていた愛鷹山は、富士山に次いで縁起の良い山、今で言うパワースポットのような場所と考えられてきたのです。
そのことから、富士山と愛鷹山が夢に出てくれば縁起が良いと言われるようになったとされています。
ちなみに、この言葉が生まれたのは江戸時代のことだったのですが、当時は茄子というのは高級品であり、今のように気軽に購入したり、食べたりすることができない野菜でした。
だからこそ、初夢で富士山や愛鷹山という霊験あらたかな山と一緒に高級品である茄子が出てくれば、縁起がいいと考えられるようになったのです。
このジンクスは当然日本オリジナルなものではありますが、本来の由来を知らない人はとても多いので、どちらかと言えば根拠のない迷信の一つであると考えることができるでしょう。
四葉のクローバーを見つけると幸運が訪れる
四葉のクローバーを見ると幸運が訪れるというジンクスがあります。
これが広まったことで、世間的にも四葉のクローバーは幸せの象徴とされるようになっており、四葉のクローバーをモチーフとしたアクセサリーなどのアイテムが販売されているのを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
珍しいものではありますから、なかなかないものを見つけたという時点で、幸せな気持ちになることができる…そんなことから、四葉のクローバーが幸せの象徴とされるようになったのです。
ちなみに実際の四葉のクローバーは、成長する過程で踏まれるなどの外的なダメージを受けることによって本来の三つ葉から四葉に変異したものだと言われており、四葉が生まれることは決して“奇跡”ではないと言って良いでしょう。
しかし、その数は圧倒的に少ないですから、見つけることで“珍しいものに出会えた”ことから運気が上がっていると考えられ、幸運が訪れる…と言われるようになったのですね。
白蛇を見ると金運がアップする
海外では不吉なものとされている蛇も、日本では基本的に縁起が良いものとして受け取られるようになっています。
特に、白蛇に関しては生きているものも、脱皮した皮にしても、見つけることができれば運気が上がると言われているのです。
このジンクスも古くから存在していますが、外来種が極端に少ない当時の白蛇の正体は、アオダイショウという蛇のアルビノだったと言われています。
アルビノ(色素欠乏症)で、体が白く、目が赤い蛇は当然珍しいですから、それを見つけることができれば、ラッキーだと言われていたのには納得ですよね。
生き物なので、ひとところにとどまることはありませんから、いつでも出会えるものでないというのも、ラッキー、幸運になれると言われていた理由でしょう。
特に白蛇に会えると、金運が急上昇すると言われており、蛇の脱皮後の皮をお財布に入れておくとお金が貯まるなどとも言われてきました。
蛇に関しては日本ではあまり悪いジンクスというのは存在していません。
最近では、気温の変化によって、または住宅地の開発が進んだことによって蛇と遭遇するなんて機会はなかなかなくなってしまいましたが、だからこそ、蛇を見つけた時には運がいいと喜んでも良さそうですね。
家の軒下にツバメが巣を作るとその家は商売繁盛する
ツバメは渡鳥で、暖かい春になると日本へやってきて、巣を作り、卵を産み、孵化させて巣立たせます。
その巣を作る場所は様々なのですが、良く見かけるのが家の玄関先などの上に作られた巣ではないでしょうか?
普通の家だけではなく、お店の軒下などに巣を作っているのを見たことがある方もいらっしゃると思いますが、普通の家よりもお店の軒先にできたツバメの巣の方が、うまく巣が作れるように台座を用意してあったりなど大事にされているのに気づいた人もいると思います。
実は、これも古くから日本に伝わるジンクスが関係していると考えられるのです。
江戸時代から、ツバメが軒下に巣を作ったお店は商売繁盛すると言われてきました。
商売人にはその言い伝えが浸透しているため、あえてツバメが巣を“作ってくれやすいように”工夫するお店もあったようです。
現在も、毎年ツバメが来て巣を作っていってくれるように、ツバメにとって心地が良い、巣作りがしやすい環境を整えているお店が多いのはこのためです。
年に一度やってきて巣を作って子育てするツバメ。
そのツバメに選ばれた家やお店には幸運がやってくるという素敵なジンクスなのです。
茶柱が立つと良いことがある
最近では若い人で、湯呑みに急須で入れたお茶を注いで飲むなんて習慣はないかもしれませんが、急須でお茶を入れた時に、湯呑みの中に入ったお茶の葉の茎の部分が、お茶の上で横になって浮くのではなく、まるで柱のようにスッと真っ直ぐ立つことがあります。
これが茶柱です。
これこそ、日本の迷信中の迷信と言っても良いくらい深く浸透しているものではないでしょうか。
茶柱が立てばその日一日幸運が出来事に見舞われるとか、何かいいことが一つだけ訪れるなど、解釈のしかたは人それぞれではあるのですが、いずれにしても何か良いことが起こる前兆として受け入れられています。
あまりにも茶柱が幸運の象徴として有名になりすぎた結果、茶柱を立てる方法なんていうのもあるくらいです。
ちなみに、お茶を入れる前に、乾いている状態のお茶の茎の反対側を爪の先で軽く扱き、潰すようにしてあげると、お茶の中に入った時にそちらが上を向き、茶柱になると言われているので、茶柱を見たことがない人は、ぜひ試してみてください。
必ずできるものではないので、確かにレアなものではありますが、実際のところ、茶柱が立つことでいいことが起こるという根拠はないのに、ここまで有名になるというのも面白いですね。
流れ星が消えるまでに三回願い事を唱えるとその願いが叶う
これも有名な迷信の一つになりますが、流れ星が見えたら、消えてしまうまでに願い事を三回唱えるとその願いが叶うというものがあります。
そもそも、流れ星が目に見えている時間はほんの一瞬のことです。
おそらく、1秒もないと思います。
ましてや、流れ星にいつ遭遇できるかというのもわかっているわけではないため、出会えた時に願い事を即座に3回、流れ星が消えるまでに唱えるというのはかなり難易度が高いことだというのがお分かりいただけるのではないでしょうか。
だからこそ、それができれば願いごとも叶う…と言われてきたという部分があります。
ただ願い事を唱えるだけで願いが叶ってしまうのであれば、誰も苦労はしませんよね。
私たちがそこまでずっと空を観察していないからなかなか出会うことができないだけで、実際のところは流れ星自体には年がら年中出会うことができるものなのです。
しかし、それが消えてしまう一瞬の間に願いを三回唱えなければならない時点で、ハードルが一気に上がります。
これができれば、どんな願いでも叶う、それくらい難しい…という意味も込められているのでしょう。
耳たぶが大きい人はお金持ちになれる
人の身体の身体的な特徴が迷信になっているというものもあります。
その最たるものが“福耳な人はお金持ちになれる”というものです。
これは、七福神の面々が大きな耳たぶをしていること、また、仏教の始祖であるブッダが福耳であることが由来となっていると考えられます。
福の神と同じ耳をしているのだから、または仏教の祖と同じ身体的特徴を持っているのだから、これ以上有難いことはない…そのような考え方がこの迷信が生まれるきっかけとなっていることは一目瞭然です。
信憑性があるかないかと言えば、当然ないわけですが、それでも廃れることなく、古くから言い伝えられている迷信の一つだと言っていいでしょう。
黄色い蝶を見かけたらいいことが起こる
春になると様々な虫がアクティブに活動するようになります。
虫嫌いな人にとっては辛い季節になってきた…と考えることができますが、それでも春の暖かい気候の中、元気よく飛んでいる蝶々に癒されるという人は決して少なくないことと思います。
この蝶にまつわるジンクスもあります。
それが、春先に黄色い蝶が飛んでいるのを見かけたらいいことが起こるというものです。
黄色い蝶というのは、比較的どこでも見かけることができるものであれば“モンキチョウ”がいます。
白い“モンシロチョウ”よりも、細かくはばたき、動きも素早いので暖かい中でとても元気に飛んでいる印象を受ける蝶です。
特にこのモンキチョウがペアで戯れながら飛んでいるのを見ると、より一層いいことが起こるなどとも言われていますので、春になったら少し足を伸ばして近くの公園など、蝶が元気に遊び回れるような自然が豊かな場所に散歩に出かけてるのも良いかもしれませんね。
不幸になると言われている日本のジンクス・迷信
霊柩車を見たら親指を隠さないと親が死んでしまう
多くの人が子供の頃から知っているジンクスとして有名なのが、霊柩車を見た時に手を握りしめて親指を隠さないと、親が死んでしまうというものです。
ある芸能人が、子供の頃に親と大喧嘩をしてその後外を歩いていたら霊柩車を見かけて、腹いせに親指を出したまま霊柩車とすれ違ったものの、その日の夜は“親が死んでしまうのではないかと怖くて眠れなかった”なんてエピソードをテレビで紹介していましたが、子供心には深く突き刺さるジンクスなのではないかと思います。
親に関わるジンクスというのは子供の頃に知ることが多いのですが、子供の頃のまっさらな心にはそれが強く残り、大人になっても霊柩車を見ると自然に親指を隠してしまう…なんて人も少なくないかもしれません。
当然、根拠は何もなく、親指を隠さなかったとしてもそれが原因で親が死んでしまうなんていうことはないのですが、不思議と日本においてこのジンクスを知っている人の割合は大きいのです。
夜に爪を切ると親の死に目に会えない
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これも同じく子供の頃に言われたことがある人の多いジンクスかもしれません。
夜に爪を切ると親の死に目に会えなくなるというものです。
これは、回り回って考えれば解釈ができるものでもあります。
昼間の間にゆとりを持って時間を使い、爪を切れば良いものを、夜寝る前にはっと思い出したように爪を切るなどの身だしなみを整えているような人は、いざ親が危篤状態だとか、急に倒れたというときに、準備に時間を使ってしまって、パッと動くことができないから…という意味があるようです。
やらないといけないことは、早めに早めに、先に先に終わらせておくべきだということを教えていると考えることができます。
つまり、ジンクスと言っても、“こうしないとこうなる”という意味ではなく、“もしもの時のためにこうしておいた方が良い”ということをわかりやすく子供に教えるための、上手な言い回し方だと解釈することができるのです。
夜口笛を吹くと蛇がやってくる
夜に口笛を吹くと蛇がやってくるという迷信を聞いたことがあるでしょうか?
日本においては、蛇は神聖なものと捉えられることが多く、ジンクスや迷信においても金運アップや運勢をあげるものとして考えられることが圧倒的に多い中、なぜ蛇がくることを“怖いこと”として戒めるような迷信があるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。
実は“蛇がくる”というのは元々の意味ではないのです。
当初は、“夜口笛を吹くと邪(じゃ)がやってくる”と言われていました。
邪というのは、“悪いもの”の総称だと受け取ることができます。
日本においては妖怪だったり、おばけだったり、幽霊だったりというものもそうですし、または賊や泥棒などの悪いものだったりというものを示す言葉でもありました。
昔は今のようなしっかりした家はありません。
また、江戸時代では一般の人々はみんな長屋で暮らしており、薄い壁一枚隔てた向こうはすぐにお隣の家という状態でしたから、口笛など高い音を出すとすぐに隣に聞こえて迷惑をかけてしまうことになります。
夜に口笛を吹くことが近所迷惑になる時代でもありましたから、子供にそのようなことをさせないために、“夜口笛を吹くと悪いものが家にやってくるからダメだ”と教えていたのです。
今も昔も、“うるさいからやめなさい”が子供に通用しないのは同じなようですね。
鬼がくるとか、おばけがくるなどの脅しをかけて、子供に静かにさせようとしていたのです。
そんな様々な怖いもの、悪いものをまとめた“邪(じゃ)”という言葉が、いつの頃からか“蛇(じゃ)”に置き換えられるようになったと言われています。
本来は、蛇を恐れた迷信ではなかったということです。
鏡を割ると不幸な出来事が起こる
鏡を割ってしまうと、不幸な出来事が起こるという迷信は、日本だけのものではありません。
鏡は他の世界と通じているという考えや、何か神秘的なものとして捉える文化は世界各国にあるため、その鏡が割れてしまうというのはあまり良いことではないと考える場合の方が多いのです。
日本でも、鏡を常に剥き出しの状態にしておくのが良くないとか、手鏡を上向きに置いておくのは良くないなど、鏡に関する迷信やジンクスが数多く存在していますが、その中でも特に不吉だと言われているのが“鏡を割ってしまうこと”だと言われています。
落として割ってしまう、ぶつけて割ってしまうなど、鏡が割れる理由は様々ではありますが、いずれの理由だとしても鏡が割れることは縁起が良くないこととされていると言っていいでしょう。
鏡が割れると不幸なことが起こると言われていますが、その不幸なことについては定まっておらず、身内が亡くなってしまうとか、病気にかかってしまうなどという重たいものから、失恋するとか怪我をする、友達と喧嘩をするなどという比較的ライトなものまで様々なようです。
誰だって割りたくて割るわけではないからこそ、誤って割ってしまった時には不幸が起こると言われているのかもしれませんね。
ため息をつくと幸せが逃げてしまう
ため息をつくと幸せが逃げるというのも、有名なジンクスではないでしょうか。
常に悩みを抱えているのは人の常ですし、悩みなく毎日を元気はつらつと過ごしている人なんてほんのひとつまみしかいないと思います。
しかし、その悩みを抱えながらも、前を向いて進むことはできますし、悩みや苦しみを抱えながらも、人前では笑顔を維持してポジティブに生きていくことはできます。
人は不思議なもので、自然と笑顔に引き寄せられるものです。
笑顔がある場所には笑顔が集まり、笑顔が溢れるからこそ、反対にため息ばかりついていると、誰も寄って来ず、いつまでも悩んだまま、重苦しい気持ちを抱え込んだまま過ごすことになってしまいます。
幸せが逃げてしまうだけではなく幸せが寄って来なくなってしまうという考え方もできるのではないでしょうか。
疲れていても、悩んでいても、常日頃からその態度を表に押し出してしまうのはやめよう…そんな意味が込められていると考えることもできますね。
屋根の上に複数のカラスが止まるとその家で死人が出る
不吉な迷信として知られているのが、屋根の上に複数のカラスが止まるとその家で死人が出るというものです。
最近では、マンションやアパートなども多くあり、またカラスが山から降りてきて街中で昼間を過ごすことも多くあるため、建物の屋根の上にカラスが止まるというのは、当然と言えば当然の風景となっている節もあります。
しかし、動物には不思議な力があると信じられていた昔は、カラスには不幸がある家がどこかを知っていて、人が亡くなる前に予知するようにその家の屋根に止まって鳴くことがあると言われてきました。
その迷信が浸透しているからこそ、カラスが家の屋根に止まっているのを見ると、嫌な気分になる人も少なくないようです。
夜に新しい靴をおろすと悪いことが起こる
夜に新しい靴を玄関先に下ろすと悪いことが起こるというジンクスがあります。
これに関しては、悪いことが起こらないように回避する方法などもあったりはするのですが、やはり新しい靴は夜履くものではないという考えが古くから存在しているからこそできた迷信だと言えるでしょう。
確かに、暗いうちに新しい靴を履いて外に出るとなると、汚れても気づくことができませんよね。
そのような部分も関係しているのではないかと考えられています。
黒猫が目の前を横切ると嫌なことが起こる
黒猫が目の前を横切ると嫌なことが起こる、不吉なことが起こるというのは、これも有名なジンクスではないでしょうか。
国によっては、黒猫が目の前を横切るのが幸運の証としている国もあるのですが、
日本では黒猫が目の前を横切るのは不吉だとされています。
日本では、猫も古くから人との関わり合いが深い動物とされてはいるのですが、妖怪にも猫又などがいるように、何か特別な力を持っている動物、人にはわからない不思議な能力がある動物、化けるものという認識も定着してしまっているところがあります。
気まぐれな性格や、何を考えているのか分からないような、鋭い目つきをすることがあることで、そのような捉え方をされている部分もあるのかもしれません。
特に、真っ黒な…というのが、カラスの色と共通することから、カラスを不吉な鳥として見てきた日本人にとっては、不吉の象徴になってしまうところもあったのでしょう。
ちなみに、黒猫が目の前を横切ったら、一度立ち止まって、3歩後退りしてから前に進むと不幸を回避できるなんて迷信も同時に存在するようです。
あまり知られてないけど面白い意味があるジンクスや迷信
梅干しの種を食べると神様のバチが当たる
梅干しの種を割ったことはありますか?
とても硬くてなかなか歯で噛み割るのは難しいですが、小梅の種などを噛み割ると、中には梅の核が入っています。
食べてしまうこともできるのですが、これを食べると神様のバチが当たるというジンクスが存在するのです。
この種の中身は地域によっては天神様と呼ばれているもので、食べても毒ではありませんし、梅干しだと味がしみっていることで、“美味しい”と感じ、好んで食べる人もいるくらいなのですが、この天神様と呼ぶ地域で限定して、このようなジンクスが生まれたものと考えられています。
桜の色が薄い年は一年中気温が低くなる
毎年、本当に短い期間咲き乱れて私たちの目と心を癒してくれる、日本人の心とも言える桜ですが、実際には毎年多少色味に違いがあることに気づいた方はいらっしゃるでしょうか。
年によっては、桜のピンクが濃い年と薄い年があり、薄い年には桜が満開になっていても、ピンクには見えず、白い花に見えてしまうときもあるくらいです。
この、色味が薄い桜が咲いた年は、年間を通して気温が低くなるというジンクスがあります。
夏は冷夏になり、冬は一層寒くなってしまうと言われているのです。
十分に暖かさを感じてから咲く桜の花は鮮やかなピンクになると言われているので、桜が咲く時点であまり気温が上がらなかった年は、寒くなると考えれていたのでしょう。
しかし最近では、夏が暑くなると冬が寒くなる…などという場合もありますので、環境の変化とともに廃れつつあるジンクスの一つでもあります。
お財布のお札は反対向きに入れると貯まりやすくなる
お財布の中身は、増えれば増えるほどハッピーな気持ちになりますよね。
そんなお財布の中ですが、お札入れにあなたのお金はどのような向きで入っているでしょうか?
お金を貯まりやすくするなら、札入れにはお札を逆さまにしまうと良いというジンクスがあるので、もっとお金を呼び込みたいなら、お札を逆さまにしまってみるといいでしょう。
コンビニやスーパーなどでお釣りを受け取る際には、わざわざ受け取った時に向きを直して、通常の向きになるようにしまっているのであれば、あえて逆さまに入れてみて、ジンクスを試してみるのも良いかもしれませんね。
練り辛子は意地悪に練らせると美味しくなる
辛子というのは、練れば練った分、辛くなり、うまみが引き出されると言われています。
そのため、練り辛子を作る際には、とにかく根気強く、しっかりと練ることが良いとされているのです。
意地悪な人やイライラしている人に練らせれば、その気持ちに任せて普通以上にしつこく練ってくれるし、気持ちをぶつけるように強く練ってくれることから、このようなジンクスが生まれたと考えられています。
最近では自分で辛子を練る人はほとんどいませんから、このようなジンクスの存在を知らない人も多いのではないでしょうか。
お茶碗に残ったご飯粒がくっつくと晴れ、綺麗に取れれば雨
ご飯を食べた後、お茶碗に残ってくっついているご飯粒が綺麗に取れればその日は雨が降り、くっついてなかなか上手く取れないという日には晴れるなんていうお天気のジンクスがあります。
これは、根拠もはっきりしており、雨が降る日は湿度が高いため湿気が多く、お茶碗にも適度な湿気があるため、ご飯粒がさっと剥がれるのです。
反対に、晴れている日は乾燥しているので、お茶碗にこびりついたご飯粒もあっという間に乾燥してしまい、剥がれにくくなります。
最近では、家電を使って湿度をコントロールしてしまうので、単純に部屋内の湿度だけで天気を推し測ることはできなくなってしまいましたが、古き良き時代の日本では、こんな小さな出来事で天気を予測していたのです。
新しい靴を下ろす時には靴の裏に唾を吐きかけると良い
新しい靴を下す時には、転んで怪我をしないように、たくさんその靴で歩くことができるように、靴の裏に唾を吐きかけると良いという迷信もあります。
唾を吐きかけるなんて汚い…と思うかもしれませんが、これによって、履いて外に出る人の無事を願うという意味合いもあり、自分ではなく家族に唾をかけてもらうと良いなんていう考え方もあるのです。
家族が無事に帰って来られますように…という願いを込めた、一つのおまじないと言っても良いでしょう。
他の国にも色々な言い伝えがある!海外のジンクス・迷信
猫のしっぽを踏んでしまうと結婚するのが遅くなる(フランス)
フランスでは、猫のしっぽを踏んでしまうと婚期を逃す、婚期が遅れるなんていうジンクスがあります。
家で飼っている猫でも、外にいる野良猫でも、どちらでも同じようです。
一説には、猫のしっぽを踏んでしまうような、周囲に気が回らない女性は結婚できない…という意味が込められていると言われています。
いい夢を見たら食事中にその夢の話をすれば正夢になる(タイ)
いい夢を見たら、その翌日の朝食の席でその夢の内容を家族に聞いてもらうと、それが正夢として実現できるというジンクスがあるのがタイです。
日本では、いい夢を見たら誰にも言わずに自分の心の中にしまっておくと良いと言われていますが、タイでは翌日の朝食の場に限って、話しても良いことになっています。
それ以外のタイミングで話しても、正夢になる効果は得られないということなので、気をつけないといけませんね。
夢にブタが出てきたらお金に関して嬉しい出来事が飛び込んでくる(韓国)
日本では、蛇の夢を見ると金運が高まると言われていますが、同じような立ち位置で韓国では豚が挙げられます。
豚の夢を見たら、金運がアップする、臨時収入がある、お給料が上がるなど、お金に関する嬉しい出来事が起こることを暗示してくれていると受け取るそうです。
夢の内容にもよるところはあるといいますが、豚が夢に出てくることはなかなかないので、見たら翌日はテンションが上がってご機嫌な1日を過ごすことができそうですね。
片手の指をクロスさせて十字架を作ると守られる、幸せになれる(アメリカ)
アメリカでは、少しついてないな、気分が落ち込んでいるなと思った時や、何か悪い予感がした時に、片手の指を絡めて十字架を作ることで、嫌なことから守ってもらえると信じられています。
また、それと同時に、幸せになることができるという言い伝えもあるのです。
どの指を使えばいいかなどの細かい決まりはなく、片手の指を使えばOKということなので、少し怖いなと思った時や、嫌な予感がする時には、片手で十字架を作って身を守るようにしてもいいかもしれませんね。
女の人が男の人の頭を撫でるのは良くない(中国)
女性と男性は、陰陽で考えれば女性が“陰”であり、男性が“陽”となります。
日本でも古くには存在した男尊女卑のような内容になってしまいますが、女性は陰の力を持っているため、男性の頭を撫でるとその男性が出世しないなどと言われているのです。
反対に、男性が女性の頭を撫でるのは、特別に良い悪いなどとは言われていませんから問題はないのですが、どんなに相手のことを愛しく感じても、可愛いと感じても、また年齢差も関係なく、女性が男性の頭を撫でるのは避けた方が良いでしょう。
ジンクスを信じている人であれば、撫でられたことを極端に嫌がったり、怒り出す人もいるようなので気をつけないといけません。
恋人に靴をプレゼントするなら現金も渡さないと別れることになってしまう(ドイツ)
ドイツでは、恋人に靴をプレゼントすると別れることになってしまうと言われており、プレゼントに靴はチョイスしないこと…というのが定説となっています。
しかし、絶対に靴をプレゼントしてはいけないというわけではなく、もし靴をプレゼントする場合には、靴と一緒に現金を添えてプレゼントすればOKとも言われているのです。
金額に指定はありませんから、コインでもOKなのでしょう。
それによって別れてしまうというジンクスを吹き飛ばすことができる、一種の厄除けとして使われているのです。
ジンクスや迷信には先人の知恵が詰まっている!
ジンクスや迷信には、昔からの人の知恵がしっかりと詰まっています。
相手が子供であればこんな言い回しをすればいうことを聞いてくれるのではないかという、子供心をコントロールする目的から生まれたジンクスや、毎日の生活をより快適にするためのジンクスなど、生まれたきっかけは本当にさまざまです。
広く知られているものから、あまり知られていないけど内容を聞くと“へえ”となってしまうようなジンクスまで本当に色々ありますし、いまだに意味がちゃんと理解されていない、解釈がしにくいものもたくさんあります。
信じて試してみるのも良いですが、時にはそのジンクスの意味をじっくり考えてみるのも楽しいかもしれませんね。
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